テキスト

河東八俊が解散してから、仇越海は漁師の暮らしに戻った。一日に魚を三匹釣り、一匹を食べ、一匹を放ち、一匹を売るーーそんな日々を送っていた。 やがて魚屋の主人と親しくなり、名を聞かれた。 「仇越海だ」 「ん?...どこかで聞いたことがある名前だな。まさか八俊の一人、仇越海では?」 「同姓同名さ。俺が大侠客に見えるか?」 二人して声を立てて笑った。 仇越海は魚を売った銭で酒を買い、ふらりと帰った。 八俊は解散後、それぞれ違う道を歩んだ。これが彼が選んだ生き方だった。元々彼はただの凡人に過ぎない。 かつて共に戦った仲間たちを思い浮かべながら、仇越海は笑って酒を地に注いだ。 「次に酒を飲む時はな...漁師の仇越海を探せよ。侠客の仇越海じゃなくてな!」 人も事も、輝ききった瞬間で終わるべきものもあるのだ。