テキスト
わが娘・依明へ
15歳の誕生日おめでとう。
もしお父さんが戻っていないなら、将軍様と共に出たこの戦が敗れたのだろう。この地に生まれ、この地のために死ぬ。悔いはない。将軍から授かった赤い房紐を、少しだけ箱に残してある。いつか事に行き詰まったら、それを持って将軍を訪ねよう。きっと力を貸してくださる。
出立の前、お父さんはレナに頼んでおいた。お前の誕生日には、この井戸のほとりで願い事をすること。そして、用意しておいた贈り物を渡すことを。贈り物を手にしたとき、少しは喜んでくれただろうか。
レナ...お前の母さんは、今も無事だろうか。もしお父さんの手紙が届いていなかったら、もう一度伝えてほしい。母さんは砂漠でいちばん美しく、いちばん勇敢な女性だと。たとえ俺が風砂になろうとも、想いは必ず、彼女のもとへ帰る。
この手紙を読むとき、もしお父さんがそばにいるのなら、今夜は星を見に行こう。もしいないのなら、このかんざしをつけよう。星たちが、父さんの代わりに見てくれる。
きっと、よく似合うよ。