テキスト
昔、父さんがわたしにこう尋ねた。
「なぜ俺たちは、各地を渡り歩くと思う?」
わたしが首を振ると、父さんはわたしの頭を撫でて言った。
「生きるためさ。俺たちソグドの民は生まれながらの商人だ。利があるところへ行くんだ。」
「それが俺たちの運命なんだ。」
わたしは父さんに聞いた。
「どこかにとどまっちゃいけないの?」
父さんは遠くを見つめ、やがてため息をついた。
「そんな場所は、もうどこにもない。」
「いいか、真珠。隊商で食っていくには、足は怠けず、心は冷たくなければならない。」
「情に流されたら、商いは長続きしない。」
その言葉はいつまでもわたしの胸に残った。
その後、わたしは唐の軍に出会った。
鎧は擦り切れ、刀の刃も欠けていた。
砂漠で長年商いをしてきたわたしは一目で分かった。
彼らがどれほど絶望的な状況にいるかを。
河西は孤立し、波陳が虎視眈々と狙っている。
商人なら、こんな割に合わない「商い」はしない。
なのに、彼らはここを離れない。
生きることより大事なものが、本当にあるのだろうか。
若い将軍を見て、わたしは聞かずにはいられなかった。
「逃げれば生きられるのに、なぜ逃げないのですか?」
将軍は胡楊の木を指さし、曇りのない目で答えた。
「根を深く張りさえすれば、生き続けられる。」
「胡楊が生き続ければ、より多くの者が生きられる。」