テキスト
二人は足を引きずりながら張じいさんを追いかけ、飲馬河のほとりに辿り着いた。
阿景が首の曲がった槐の木にもたれて息を整えていると、七、八人の屈強な老人が木陰から現れた。
襟元には「一索」「九筒」と書かれた竹札を差し、「勝」と書かれた赤い卵を手に握りしめ、二人に向かって「私を選べ」と大声で叫んだ。
ほどなくして、二人の懐は赤い卵でいっぱいになった。必死に人混みを抜け出し、懐の赤い卵を見下ろしていると、卵の殻にひびが入り、中から「八萬」と「中」の麻雀牌が顔を出した。二人は顔を見合わせ、互いの目に困惑の色を浮かべた。
「しっかり持ったか?」
険しい顔の張じいさんが背中を叩き、問いかけた。
「持ったって…卵を?」
二人は戸惑いながら問い返した。
老人は答えず、ただ同じ言葉を繰り返した。
「しっかり持ったか?」
二人は卵を見つめ、しどろもどろに答えた。
「も、持ったと思います…」
すると老人は突然大声で叫んだ。
「早く...届けろ...届けるんだ...」
「五組に分けて...いや...十組だ...行け!」
「卵二つを十組に?届けるってどこに?」
二人が言い終える前に、張じいさんは二人の腕をつかみ、迫ってくる老人たちの方へ押し出した。
「必ず、慎重に届けろ……」
目を輝かせた老人たちを見て、二人は悟った。
ああ、またしても逃げられない。
阿達の腰帯は何度も緩められ、ついにはほどけてしまい、老人たちはようやく手を離した。
張じいさんは取り乱したように二人に掴みかかり、問い詰めるように言った。
「届けたのか?十組、全部届けたのか?」
「十組どころか…二、三十組はありましたよ…」
阿景はその場にへたり込んだ。
それを聞くと張じいさんは突然、抱拳礼をして朗らかに笑い、背を向けて立ち去った。
訳が分からないまま取り残された二人。
「俺たち、礼をされるようなことしたっけ?」
「おい、まだ行くのか?」
気後れした阿達に、阿景は噛みしめながら言った
「ここまで来たんだ。このまま引き下がれるか!
二人は再び立ち上がり、張じいさんを追いかけた。