テキスト

十七歳の少年は、身なりも整えぬまま夜明け前に俺の戸を叩いた。 「雪のように白く、だが黒曜石のように真っ黒な刀を作ってくれ。神刀のような切れ味で、三階建てほどの白蛇を斬れるものを」 「おまえなあ、涼州のどこにそんな白蛇がいるんだ?」と訊くと、少年は眉を上げた。 「夢で見たんだ。いつか現れる。その前に刀を打っておいてくれ。鍔に細工が施され、刃文は真っ直ぐな横刀がいい」 変わった注文だが、作ることにした。 出来上がった刀を少年に渡すと、黒光りする柄頭から伸びる刃が夜明けの光を受け、涼州の冷たい風を切り裂いた。 「天光を裂き、白蛇を断つか...この刀を『破白』と名付けよう」 俺は破白を見つめ、少年にお願いをした。 「いつか、もっといい剣を手に入れたら、破白を返してくれ。 俺の一番の自慢の刀だからな」 少年は刀の峰で俺の肩をぽんと叩き、答えた。 「破白が壊れたら、また来る。 おまえが生きている限り、こいつが一番だ」