テキスト

朱色、「工」の字を取る。夕焼けのようで、紅葉のよう。中秋といえば蟹を食べる時期である。涼州には蟹がいないのが惜しい。長安から来た商人の話によれば、中原の秋蟹は脂が乗り、殻を割れば黄金色の膏が流れ、酢につけて食すと絶品である。春に隊商が再来した際には、必ず酢一壺を取り寄せ、この壁一面の「蟹の爪」と共に飯を楽しもう。阿弥陀仏、菩薩様、どうかお許しください。 蟹爪紅。 黄色、「廿」の字を取る。杏、向日葵、梔子の香り。長安の梔子は純白で香りは甘く控えめだが、涼州の風雪には耐えられまい。梔子の花香は蔵経洞では嗅ぐことも、悟仏寺でも見ることもできない。しかし経典には別の梔子の香り、「薝蔔花」が記されている。西方浄土に咲く黄金の聖花で、清らかで愛らしく、菩薩様の最も好まれる花である。善行を積めば、菩薩様は微笑み、天より花の雨が降り、衆生は香りにより救われる。ならば、この黄色も仏の光と花の雨として、菩薩様の寛大さに委ねられよう。 梔子黄。 緑色、「夕」の字を取る。玉門関の外には緑はなく、涼州は雪深く、鬱蒼とした緑は見当たらない。この緑は家の前の柳のようで、池の蓮の葉のようで、家の後ろの碧い山のようである。子供の頃、山が大きく、入れば迷子になり帰れなくなると思った。しかし大人になって知ったことは、山は大きくとも常に家の後ろにあり、山に入らずとも迷うことはある。その時、目を閉じて山が見えれば、家は遠くない。 碧山緑。 青色、「青」の字頭を取る。この色は聞き覚えがある。寺に泊まった夜、風の音がうなり眠れなかった。ふと、かすかな笛の音が客間外の竹林の奥から聞こえてきた。もし音を辿れば、花鳥の怪物は人の言葉を理解し、一筆を描かせてくれるであろう。行かねば、せっかくの良辰佳人知音を無駄にすることになる。やがて笛の音は途切れ、語り物は机から吹き落ち、窓外には月が明るく輝いていた。 竹月青。 白色。この白は涼州の雪の如くでもなく、月下の砂の如くでもない。白亜は細かく滑らかで、寺の女たちが話すライチに少し似ているかもしれない。あの果実は嶺南に生え、殻を剥けば中は雪の如く白く透き通った肉で、柔らかく潤いがある。この白は観音様の指先を描くのに最適である。不敬の念はないが、もし私の指先も同じく美しければ、筆を持つことも叶わないであろう。 荔肉白。