テキスト
張若将軍の名だけじゃ俺は動かねえ。
だが、直すのが「破白」だって聞けば話は別だ。
炉が真っ赤になるまで燃えても、破白の持ち主は現れなかった。
目の前の若者を見て、俺はなかなか破白を火に入れようとしない。
「鍛治屋さん、もう待たなくていい。叔父は来ない」
今日は来ないのか、それとも二度と来ないのか。
鍛冶場には破白が焼かれる音だけが響き、言葉はそこで途切れた。ふと気づいた。
この男は恩人じゃない、ただ破白の新しい主にすぎねえのだと。
もう要らないんなら、なぜ返してくれねえんだ。腹が立って金槌を放り投げ、床にどさりと座って若者を睨みつけた。なぜ来ねえ。
腕が折れて剣を握れなくなったのか。と問えば、彼は短く答えた。
「…彼に剣を取らせない者がいるんだ。だから代わりに来た」
鍛える者はここにいるのに、受け取るべき者が来ねえ。
その言葉に俺の腹は煮えくり返った。年は取ったが体はまだ動く。数日後、俺は「破白」を張若将軍に渡して旅に出た。
どんな聖人でもあいつを剣から引き離せねえ。
剣を握ることでしか、剣を奪おうとする者を討てねえのだ。
長安に着いたら、必ず「破白」を越える剣を作ってやる。
あいつを、さらに名を馳せる大将軍にしてやるのだ。